![]() B型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド及び肝臓に化合物を特異的に送達するためのビヒクルとしてのそれらの使用
专利摘要:
本発明は、in vitro及びin vivoで肝臓、好ましくは肝細胞に化合物を特異的に送達するための汎用ビヒクルである、B型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドに関する。任意の種の化合物、特に例えばインターフェロン、ウイルス逆転写酵素阻害剤又はコアアセンブリ阻害剤、及び/又はラベル等の薬物が、肝臓を特異的に標的とすることができ、このようにして肝臓で濃縮される。さらにこの肝臓標的化を、肝疾患又は肝障害、例えば肝炎、マラリア、肝細胞癌腫(HCC)を標的とする診断、予防及び/又は治療に、並びにHAV、HBV、HCV及び/又はHDVの感染予防に使用することができる。本発明は、上記疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと肝臓に特異的に送達される化合物とを含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、肝疾患の治療とHAV、HBV、HCV及び/又はHDVの感染予防とを組み合わせる方法に関する。本発明は、遺伝子治療、及び肝臓指向性の免疫反応を活性化させる肝細胞媒介性の抗原提示のための免疫原性エピトープの送達におけるpreS由来ペプチドの使用にも関する。なし 公开号:JP2011512123A 申请号:JP2010543441 申请日:2009-01-26 公开日:2011-04-21 发明作者:ウルバン,シュテファン;ハベルコルン,ウーヴェ;ミエル,ヴァルター 申请人:ルプレヒト−カールス−ウニヴェルジテート ハイデルベルクRuprecht−Karls−Universitaet Heidelberg; IPC主号:C12N15-09
专利说明:
[0001] 本発明は、in vitro及びin vivoで肝臓、好ましくは肝細胞に化合物を特異的に送達するための汎用ビヒクルであるB型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドに関する。任意の種の化合物、そのなかでも特に、インターフェロン、ウイルス逆転写酵素阻害剤又はコアアセンブリ阻害剤などの薬物及び/又はラベルは肝臓を特異的に標的とすることができ、そして肝臓で濃縮される。さらにこの肝臓標的化を、肝疾患又は肝障害、例えば肝炎、マラリア、肝細胞癌腫(HCC)を標的とする診断、予防及び/又は治療に、並びにHAV、HBV、HCV及び/又はHDVの感染予防に使用することができる。本発明は、上記疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと肝臓に特異的に送達される化合物とを含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、肝疾患の治療とHAV、HBV、HCV及び/又はHDVの感染予防とを組み合わせる方法に関する。本発明は、遺伝子治療、及び肝臓指向性の免疫反応を活性化させる肝細胞媒介性の抗原提示のための免疫原性エピトープの送達におけるpreS由来ペプチドの使用にも関する。] 背景技術 [0002] 脊椎動物及び他の動物に存在する器官である肝臓は、代謝において主要な役割を果たし、グリコーゲン貯蔵、赤血球の分解、血漿タンパク質の合成及び解毒を含む、身体における多くの機能を有する。また肝臓はヒトの身体で最も大きな腺である。肝臓は腹部の胸郭部における横隔膜の下にある。肝臓は、脂質の乳化を介して、消化を助けるアルカリ化合物である胆汁を産出する。また肝臓は、特殊な組織を必要とする多種多様な大量の生化学反応を行うと共に調節する。] [0003] 肝細胞は肝臓の細胞質塊の70%〜80%を構成している。肝細胞は、タンパク質合成、タンパク質貯蔵及び炭水化物の変換、コレステロール、胆汁塩及びリン脂質の合成、並びに外因性物質及び内因性物質の解毒、変性及び排出に関与する。また肝細胞は胆汁の生成及び分泌を開始する。] [0004] 数多くの既知の肝疾患、例えば 肝炎:主に様々なウイルスにより引き起こされるが、或る特定の毒、自己免疫又は遺伝性疾患によっても引き起こされる肝臓の炎症、 肝硬変:死滅肝臓細胞を置き換える、肝臓における線維組織の形成(肝臓細胞の死滅は、例えばウイルス性肝炎、アルコール依存症又は他の肝毒性の化学物質への接触により引き起こされ得る)、 ヘモクロマトーシス:身体において鉄の集積を引き起こし、最終的には肝臓損傷をもたらす遺伝性疾患、 肝臓の癌:通常胃腸管の他の部分に由来する、原発性の肝細胞癌腫(HCC)又は胆管癌腫及び転移性癌、 ウィルソン病:銅が身体に保持される遺伝性疾患、 原発性硬化性胆管炎:事実上自己免疫性である胆汁管の炎症性疾患、 原発性胆汁性肝硬変:細胆汁管の自己免疫疾患、 バッド・キアリ症候群:肝静脈の閉塞、 ジルベール症候群:集団の約5%に見られるビリルビン代謝の遺伝障害、 II型糖原病:全身の進行性の筋力低下(ミオパシー)を引き起こし、特に心臓、骨格筋、肝臓及び神経系で様々な身体組織に影響を与えるグリコーゲンの蓄積、 が存在する。] [0005] 多くの小児肝疾患、例えば胆道閉鎖症、α−1−抗トリプシン欠乏症、アラジール症候群及び進行性家族性肝内胆汁鬱滞症、並びに代謝性疾患も存在する。] [0006] さらに、特に熱帯病の病原体及び寄生生物によってはその生活環の中に肝臓段階を有する。] [0007] 例えばマラリアは最も一般的な感染性疾患の1つであり、多大な公衆衛生の問題がある。マラリアは、プラスモジウム(Plasmodium)属の寄生原生動物により引き起こされる。] [0008] 最も重症な型の疾患は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodiumfalciparum)及び三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)により引き起こされるが、他の関連種(卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、四日熱マラリア原虫(Plasmodiummalariae)及び場合によっては二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi))がヒトに感染する可能性もある。この群のヒト病原性のマラリア原虫種は通常、マラリア寄生生物と呼ばれる。マラリア寄生生物は、雌のハマダラカ(Anopheles mosquitoes)により伝播される。ヒトにおいてマラリアは二相で発症する:赤血球外相(肝臓相又は「肝臓段階」)及び赤血球相。感染した蚊が人の皮膚を刺し、吸血すると、蚊の唾液中の種虫が血流に入り、肝臓へと移動する。ヒト宿主に導入されておよそ30分以内に、種虫が肝細胞に感染し、6日間〜15日間、無性的に及び無症候性で増殖する。一度、肝臓でこれらの生物が分化し、数千ものメロゾイトが得られると、宿主細胞が破壊された後、血液中へと流出し、赤血球に感染する。このようにして生活環の赤血球段階が始まる。寄生生物は、感染した宿主肝臓細胞の細胞膜において自身を包み込む(wrapping)ことによって検出されることなく肝臓から流出する。寄生生物は、身体の免疫系による攻撃から比較的保護されるが、これはヒト生活環のほとんどで、寄生生物が肝臓及び血球内に存在し、免疫学的監視に比較的探知されないためである。血液段階の発症を未然に防ぐために、マラリア寄生生物の肝臓特異的段階に特異的に対処する薬物(例えばプリマキン)を開発することへの関心が高まっている。] [0009] 別の例は、数種の扁形動物により引き起こされる寄生虫性疾患である、住血吸虫症又はビルハルツ住血吸虫症である。住血吸虫症は死亡率が低いが、非常に衰弱性であり得る。住血吸虫症は寄生性の扁形動物(住血吸虫)による血液の感染に起因する、慢性的であることが多い病気である。住血吸虫症は衰弱をもたらし、肝臓及び腸の損傷を引き起こす。住血吸虫症はアジア、アフリカ及び南アフリカ、特に寄生生物を含有する淡水貝で汚染されている水を用いる地域で最も一般的に見られる。] [0010] B型肝炎の原因となるB型肝炎ウイルス(HBV)は、哺乳類及び鳥類の小さいエンベロープ(enveloped)DNAウイルスファミリーの原型である(1)。HBVエンベロープは、L−(大型(large))タンパク質、M−(中型(middle))タンパク質及びS−(小型(small))タンパク質と呼ばれる3つのタンパク質を取り囲んでいる(図1A)。3つのタンパク質は、4つの膜貫通領域を有するC末端のS−ドメインを共有する。M−タンパク質及びL−タンパク質は、55個のアミノ酸のさらなるN末端伸長と、遺伝子型に依存した107個又は118個のアミノ酸とを保有する(preS2−及びpreS1)(図1B)。ビリオンでは、L−タンパク質、M−タンパク質及びS−タンパク質の化学量論比は約1:1:4であり、より豊富に分泌される非感染性のサブウイルス粒子(SVP)はほぼ独占的にS−タンパク質を含有し、L−タンパク質はほんのわずかしか含有しない(2)。合成中、L−タンパク質のpreS1−ドメインがミリストイル化し、HBV生活環の幾つかの時点でER由来膜を通して位置を変える。この修飾は感染性に必須である(3、4)。HBV及び他の肝指向性ウイルスは向肝性を有し、すなわち肝臓はHBVの成長を特異的に支持する組織である。] 図1A 図1B [0011] 薬物の特異的な標的化は、治療の有効性の改善を目的としている。1906年、PaulEhrlichは、最適な治療戦略の追及のための「特効薬(magic bullet)」という表現を導入した。それ以来、薬物標的化という意味での研究は、腫瘍又は病原体等の標的組織における薬物の治療濃度を増大させ、これにより全体として生物に対する副作用を低下させる担体系の開発に焦点を当ててきた。理想的に、薬物標的化は以下の基準を満たさなければならない:1)要求される作用部位への薬物の排他的送達、2)残りの組織(organism)に対する最小の効果、3)薬理学的に不活性であるベクターの使用。] [0012] 特定の組織に薬物を送達するために、様々な戦略が追究されている。これらは例えば、プロドラッグの使用であり、このプロドラッグから薬理学的に活性な部分が、組織特異的な酵素により標的組織に放出される。さらなる可能性としては、効果がある非組織特異的な薬物と、受容体−アフィンペプチド又はコロイド粒子のような、組織特異的であるが、薬理学的に不活性な担体系とを合わせることである。] [0013] 様々な薬物担体を、薬物の肝臓標的化を高めるのに使用している。直接的なアプローチは、薬物、特に担体、例えばリポソーム及びミクロスフェアを送達することによる肝臓における網内系の活性食作用を基にしている。例えば、静脈内注射の後に、薬物が組み込まれた微粒子担体が主に肝臓における網内系で捕捉され、これにより肝臓の薬物標的化がもたらされることが示されている(5)。他方で、正に荷電した水溶性ポリマーによる薬物の肝臓標的化は、肝臓の血管系からのほとんどの水溶性物質の自由溢出と、肝臓細胞表面上の負電荷とを基にしている(6)。このためポリマーは、肝臓のこのような解剖学的及び生化学的な特徴に基づき、薬物を肝臓標的化させる担体として使用されている。肝臓のより特異的な薬物標的化が、肝臓細胞のアシアログリコプロテイン受容体を使用することにより試みられている。アシアログリコプロテイン受容体(ガラクトース受容体)は高密度で肝細胞に存在する。さらに、リガンドがガラクトース受容体に結合すると、リガンド−受容体複合体が内在化し、ガラクトシル化リガンドの細胞取り込みを可能にする(7)。] [0014] 特許文献1は、肝臓細胞への治療遺伝子の送達及び肝臓細胞における非相同遺伝子の発現のような遺伝子治療に使用することができる、B型肝炎ウイルス(HBV)由来の組換えベクターを開示している。しかしながら、HBVベクターは遺伝子をパッケージングする容量が制限されている。] [0015] しかしながら、今までのところ動物すなわち鳥類、特にヒトにおいて肝臓器官を特異的に標的とし、同時に肝臓に所望の化合物又は薬物を特異的に送達する普遍的な診断、治療及び/又は予防アプローチが存在していない。] [0016] このため、被験体において、肝臓器官を特異的に標的とし、肝臓に所望の化合物又は薬物を特異的に送達する普遍的な診断、治療及び/又は予防アプローチが必要とされている。] [0017] さらに、被験体において、肝臓器官を特異的に標的とし、肝臓に所望の化合物又は薬物を特異的に送達し、同時に肝細胞へのB型肝炎及びD型肝炎ウイルスの侵入を防ぐ普遍的な診断、治療及び/又は予防アプローチは存在していない。] [0018] さらに、ワクチン接種等のために免疫系を誘発する抗原性エピトープによる肝臓の特異的な標的化が必要とされている。] 先行技術 [0019] 米国特許第7,001,760号明細書] 発明が解決しようとする課題 [0020] したがって本発明は、肝疾患の効果的で特異的に標的化された診断、予防及び/又は治療、並びに肝機能の調節のための手段及び方法を提供することを目的とする。] 課題を解決するための手段 [0021] 本発明によると、この目的はHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを提供することにより解決される。] [0022] 上記疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは一般式: [Hm−P−Rn]AO を有する。] [0023] Pは上記preS由来ペプチドであり、「HBVコンセンサス配列」のアミノ酸配列又はその変異体を含む。] [0024] HはPのN末端にあるpreS由来ペプチドPの上記疎水性修飾であり、アシル化と疎水性部分の付加とから選択され、mは少なくとも1である。] [0025] Rは上記preS由来ペプチドPの任意のC末端修飾である(すなわちnは0又は少なくとも1である)。] [0026] Aは任意のアンカー基であり(すなわちoは0又は少なくとも1である)、これは化合物の共有結合に適しており、H、P及び/又はRと連結する。] [0027] 本発明によると、この目的はさらに、本明細書中に規定のようなHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを少なくとも1つと、少なくとも、本明細書中に規定のような肝臓、好ましくは肝細胞に特異的に送達される化合物と、任意で薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供することにより解決される。] [0028] 本発明によると、この目的はさらに、肝臓に化合物を特異的に送達するためのビヒクル又はシャトルとしてHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを使用することにより解決される。] [0029] 本発明によると、この目的はさらに、肝疾患若しくは肝障害の診断、予防及び/又は治療、又は肝機能の調節に関するHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド若しくは本発明の医薬組成物を提供することにより解決される。] [0030] 本発明によると、この目的はさらに、肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療用の薬剤の製造に関するHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド若しくは本発明の医薬組成物を使用することにより解決される。] [0031] 本発明によると、この目的はさらに、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は本発明の医薬組成物を利用することによって肝疾患又は肝障害を診断、予防及び/又は治療する方法により解決される。] [0032] 本発明によると、この目的はさらに、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド及び本明細書中に規定のような化合物又は医薬組成物を含む、本明細書中に規定のような共役体を被験体に投与することによって、肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療と、HBV及び/又はHDVの感染予防とを組み合わせる方法を提供することにより解決される。] [0033] 本発明によると、この目的はさらに、肝疾患又は肝障害の遺伝子治療に関する本明細書中に規定のようなpreS由来ペプチドPをコードする核酸を含むウイルスベクターの使用を提供することにより解決される。] 図面の簡単な説明 [0034] HBV粒子及びHBV L−タンパク質、M−タンパク質及びS−タンパク質のの概略図。A:一部が二本鎖のDNAが、末端タンパク質(TP)、逆転写酵素(RT)及びRNaseHから成るウイルスポリメラーゼ複合体と共有結合する。ゲノムが120個のコアタンパク質二量体から構成される20面体シェルによって封入される。3つのHBV表面タンパク質、L−タンパク質、M−タンパク質及びS−タンパク質はER由来脂質二重層に組み込まれている。L−タンパク質及びM−タンパク質は膜アンカーとして働く完全なS−ドメインを含有する。 B:3つのHBV表面タンパク質、L−タンパク質、M−タンパク質及びS−タンパク質のドメイン構造を示している。L−タンパク質はN末端でミリストイル化した107個のアミノ酸のpreS1−ドメインと、55個のアミノ酸のpreS2−ドメインと、4つの膜貫通領域(I〜IV)を含有するS−ドメインとを含有する。 HBV preS1コンセンサス配列を示す図である。上部:preS1−ドメイン、preS2−ドメイン及びS−ドメインを有するHBV L−タンパク質を示している。N末端がミリストイル化している。下のアラインメントは、アミノ酸2〜48を包含する、コンセンサス配列(コンセンサス)、及び8つのHBV遺伝子型(A〜H)とウーリーモンキーHBV(WMHBV)とのpreS配列を示している。遺伝子型A、B、C、E、G及びHはそのN末端に11個のさらなるアミノ酸を有しており、遺伝子型FはそのN末端に10個のさらなるアミノ酸残基を有していることに留意されたい。下部に、既知の機能的なサブドメインを示している。HBV遺伝子型CはHBV遺伝子型C Q46Kを表すことに留意されたい。 皮下適用後のHBV preS由来リポペプチドの生体内分布及び肝臓安定性を表す図である。A:対照のFuzeon(登録商標)(T−20)と比較した、雄のNMRIマウスでの皮下注射後のミリストイル化(C14)対ステアロイル化(C18)のHBV preS/2−48(D)ペプチドの肝臓特異的な集積を示している。動物1匹当たり約2.25μgの131I標識化ペプチドを皮下注射した。指定時点で、動物を屠殺し、肝臓特異的なペプチド集積(%ID/g)を求めた。 B:同じペプチドを有するuPA+/−/RAG−2−/−Pfp−/−マウスへの皮下注射の24時間後に得られた肝臓抽出物(橙色の曲線)と比較した、純粋な131I標識化HBV preS/2−48myr(D)(茶色の曲線)の逆相HPLCを示す。検出可能な活性の50%が画分13で溶出していることに留意されたい。疎水性のミリストイル残基がN末端に位置しているので、C末端画分13でのヨウ素化Tyr残基が不変の全長ペプチドを表す。 NMRIマウスにおける皮下適用後のHBV preS/2−48myr(D)の生体内分布を示す図である。各時点当たり、2.25μgの131I標識化HBV preS/2−48myr(D)をNMRIマウスに皮下注射した(N=3)。注射の10分後、1時間後、4時間後及び24時間後、動物を屠殺し、器官特異的な(血液、肺、心臓、脾臓、肝臓、腎臓及び筋肉)ペプチド集積(%ID/g)を求めた。ほとんどのペプチドが肝臓に集積し、Y軸は、他の器官で分布がより良好に消散したためずれてしまっている(jolted)ことに留意されたい。 uPA+/−/RAG−2−/−Pfp−/−マウスにおける皮下適用後のHBV preS/2−48myr(D)の生体内分布を示す図である。各時点当たり、2.25μgの131I標識化HBV preS/2−48myr(D)を皮下注射した(N=3)。10分後、1時間後、4時間後及び24時間後、動物を屠殺し、器官特異的な(肝臓、脾臓、腎臓、血液、肺、腸、心臓、筋肉及び脳)ペプチド集積(%ID/g)を求めた。NMRIマウスのように、ほとんどのペプチドが肝臓に集積することに留意されたい。 マウスにおける皮下注射後の125I標識化HBV preS/2−48ステアロイル(D)のシンチグラムを示す図である。右脚近くへの皮下注射後のマウスの肝臓における125I標識化HBV preS/2−48ステアロイル(D)の特異的な集積を表す。肝臓は中央左側にあると思われる。頭部近くの徐々に強くなっている(upcoming)シグナルは甲状腺であり、ペプチドの脱ヨウ素化後の遊離ヨウ素を表し得ることに留意されたい。 向肝性は配列特異的であり、N末端の疎水性修飾を必要とすることを表す図である。ランダム化(「スクランブル(scrambled)」)配列と比較した、N末端が疎水性修飾されていないpreSペプチドの生体内分布を示す。HBV preS/1−48 Tyrとそのランダム化形態との両方が腎臓に位置していることに留意されたい。A:マウスにおけるHBV preS/1−48 Tyr(D)の生体内分布を示す。 B:マウスにおけるHBV preS/スクランブル1−48 Tyr(D)の生体内分布を示す。 ランダム化(「スクランブル」)配列と比較した、疎水性修飾されたpreSペプチドの生体内分布を示す。HBV preS/2−48 Tyrステアロイル(D)だけが肝臓に輸送され、そのランダム化形態は均等に分布している。C:マウスにおけるHBV preS/2−48 Tyrステアロイル(D)の生体内分布を示す。D:マウスにおけるHBV preS/2−48 Tyr(スクランブル)ステアロイル(D)の生体内分布を示す。 疎水性修飾されたpreSペプチドの変異体(該変異体はN末端及び/又はC末端で切断されているか、又は点突然変異されている)の生体内分布を示す図である。切断変異体、HBV preS/5−48 D−Tyrステアロイル(D)、HBV preS/2−33−D Tyrステアロイル(D)、及びHBV preS/2−21 D−Tyrステアロイル(D)は向肝性を示すが、12位に点突然変異を有する変異体(G12E)は向肝性を示さない。A:マウスにおけるHBV preS/5−48 D−Tyrステアロイル(D)の生体内分布を示す。 B:マウスにおけるHBV preS/2−33−D Tyrステアロイル(D)の生体内分布を示す。 疎水性修飾されたpreSペプチドの変異体(該変異体はN末端及び/又はC末端で切断されているか、又は点突然変異されている)の生体内分布を示す図である。C:マウスにおけるHBV preS/2−48(G12E) D−Tyrステアロイル(D)の生体内分布を示す。 D:マウスにおけるHBV preS/2−21 D−Tyrステアロイル(D)の生体内分布を示す。 本発明の疎水性修飾されたHBVpreS由来ペプチドによるHBV感染阻害を表す図である。A:HBV preS/2−48myr(D)、HBV preS/2−48myr(C)、HBV preS/(−11)−48myr(C)、HBV preS/2−48ステアロイル(C)及びHBV preS/(−11)−48ステアロイル(C)によるHBV感染阻害を表す。ここで、(C)又は遺伝子型CはHBV遺伝子型C Q46Kを表す。 本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドによるHBV感染阻害を表す図である。B:HBV preS/2−48ステアロイル(D)、HBV preS/2−15ステアロイル(D)、HBV preS/2−21ステアロイル(D)、HBV preS/2−26ステアロイル(D)及びHBV preS/2−33ステアロイル(D)によるHBV感染阻害を表す。HepaRG細胞を、非存在下(0nM)又はそれぞれ1nM、5nM、25nM、100nM及び1000nMの本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドの存在下のいずれかで感染させた。感染性接種材料(遺伝子型DのHBV)とペプチドとを一晩インキュベートした。洗浄後、細胞をさらに12日間維持し、ウイルス遺伝子を発現させた。8日目〜12日目の細胞培養上清を回収し、定量的な市販のELISAを使用して分泌HBsAgに関して解析した。それぞれの不完全感染によるHBsAg値を100%とし、感染阻害の程度を不完全感染の%で与える。 本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドとヒト初代肝細胞(PHH)との結合がミリストイル依存的及び配列特異的であることを表す図である。共焦点画像を示す免疫蛍光青色:dapi、緑色:FITC。ヒト初代肝細胞(PHH)を、4時間400nMのペプチドを用いて又は用いずにインキュベートした:A ペプチドなしB wt myr−FITCを用いてC mut myr−FITCを用いてD wt myr(−)−FITCを用いて。明るい(緑色)ドットは細胞の自己蛍光を示し(A、C及びD)、Bだけでペプチドと細胞との結合を見ることができる。wt myr−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、C末端にリシン(K)を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC[配列番号39]を表す。mut myr−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、L11位及びF13位に2つのアミノ酸置換を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC(該アミノ酸はそれぞれDアミノ酸残基(D−Leu及びD−Phe)で置換された)[配列番号40]を表す。wt myr(−)−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、ミリストイル化を有しないHBV preS/2−48(C)−FITC[配列番号39]を表す。フルオロフォアFITCはさらなるLysの側鎖(NH2基)に結合した。 本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドの結合がHBV感受性肝細胞に限定されないことを表す図である。共焦点画像を示す免疫蛍光 青色:dapi、緑色:FITC。細胞を37℃で4時間、400nMのペプチドを用いて又は用いずにインキュベートした:A(上部パネル)分化HepaRG細胞B(下部パネル) マウス初代肝細胞(PMH)。wt myr−FITCのみが細胞と結合する。明るい(緑色)ドットは細胞の自己蛍光を示す。wt myr−FITCは、さらなるLysの側鎖(NH2基)に結合したフルオロフォア(FITC)で標識化された、C末端にリシン(K)を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC[配列番号39]を表す。mut myr−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、L11位及びF13位に2つのアミノ酸置換を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC(該アミノ酸はそれぞれDアミノ酸残基(D−Leu及びD−Phe)で置換された)[配列番号40]を表す。wt myr(−)−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、ミリストイル化を有しないHBV preS/2−48(C)−FITC[配列番号39]を表す。フルオロフォアFITCはさらなるLysの側鎖(NH2基)に結合した。 本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドの結合が細胞の分化状態に依存することを表す図である。ペプチドは分化した肝細胞とのみ結合する。共焦点画像を示す免疫蛍光 青色:dapi、緑色:FITC。細胞を37℃で4時間、400nMのペプチドを用いて又は用いずにインキュベートした:A(上部パネル) 分化HepaRG細胞と未分化HepaRG細胞との比較B(下部パネル) 分化マウス初代肝細胞(PMH)と脱分化マウス初代肝細胞(PMH)との比較。wt myr−FITCは分化細胞とのみ結合する。明るい(緑色)ドットは細胞の自己蛍光を示す。wt myr−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、C末端にリシン(K)を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC[配列番号39]を表す。フルオロフォアFITCはさらなるLysの側鎖(NH2基)に結合した。 本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドとマウス初代肝細胞(PMH)との結合のFACS解析結果を表す図である。A:FACS解析のプロトコルを示す。 本発明の疎水性修飾されたHBV preS由来ペプチドとマウス初代肝細胞(PMH)との結合のFACS解析結果を表す図である。B:FACS解析の結果を示す(免疫蛍光結果と比較した)。wt myr−FITCのみが細胞と結合する。wt myr−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、C末端にリシン(K)を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC[配列番号41]を表す。mut myr−FITCは、フルオロフォア(FITC)で標識化された、L11位及びF13位に2つのアミノ酸置換を有するHBV preS/2−48myr(C)−FITC(該アミノ酸はそれぞれDアミノ酸残基(D−Leu及びD−Phe)で置換された)[配列番号42]を表す。フルオロフォアFITCはさらなるLysの側鎖(NH2基)に結合した。 HBV preS由来ペプチドとマウスインターフェロンαとの融合構築物を示す図である。 HBV preS/2−2myr(D)−IFNαの精製及び活性試験結果を表す図である。組換えバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞の上清からの融合タンパク質、HBV preS/2−20myr(D)−マウスインターフェロンα2の精製を表す。A 第1のクロマトグラフィー工程:HBV preS/2−20myr(D)−IFNα構築物がC末端のHis−タグを保有しているため、Ni−アガロースを使用するHis−タグを介するクロマトグラフィー精製。B 第2のクロマトグラフィー工程:ゲル濾過クロマトグラフィー(S75)。C 第1のクロマトグラフィー工程の溶出画分をIFNに関して試験した。実施例も参照されたい。HBV preS/2−20(D)のアミノ酸配列に関しては、配列番号38を参照されたい。] [0035] 本発明を以下でより詳細に説明する前に、本発明は、本明細書中に記載の特定の方法、プロトコル及び試薬は様々であり得るため、これらに限定されないことを理解されたい。本明細書中で使用される専門用語は特定の実施形態を説明するためにすぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定する意図はないことも理解されたい。特に規定のない限り、本明細書中で使用される技術用語及び科学用語は全て、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明のために、本明細書中で言及される参考文献は全て、その全体が参照により本明細書中に援用される。] [0036] HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド 上記で概説されたように、本発明はB型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを提供する。] [0037] HBVのエンベロープは、L−(大型)タンパク質、M−(中型)タンパク質及びS−(小型)タンパク質と呼ばれる3つのタンパク質を取り囲んでいる(図1Aを参照されたい)。3つのタンパク質は、4つの膜貫通領域を有するC末端のS−ドメインを共有する。M−タンパク質及びL−タンパク質は、55個のアミノ酸のさらなるN末端伸長と、遺伝子型に依存した107個又は118個のアミノ酸とを保有する(preS2−及びpreS1)(図1Bを参照されたい)。] 図1A 図1B [0038] このため、本発明によるHBVの「preS由来」ペプチドという表現は、HBVのL−タンパク質のN末端伸長、preS1に、好ましくはA〜Hの種及び遺伝子型、並びにウーリーモンキーのB型肝炎ウイルス(WMHBV)、チンパンジー及びゴリラのB型肝炎ウイルスのコンセンサス配列に対応するアミノ酸配列を有するペプチドを表すが、これはその変異体、好ましくはN末端及び/又はC末端で切断された変異体、アミノ酸置換変異体も表す。] [0039] 配列番号1は、A〜Hの種及び遺伝子型、並びにウーリーモンキーのHBV(WMHBV)のpreSコンセンサスアミノ酸配列を示す。] [0040] アミノ酸2〜48を包含する、HBVpreSコンセンサス配列(コンセンサス)と、8つのHBV遺伝子型(A〜H)及びウーリーモンキーHBV(WMHBV)のpreS配列とを示す図2におけるアラインメントを参照されたい。遺伝子型A、B、C、E、F、G及びHは、それらのN末端に最大11個のさらなるアミノ酸を有していることに留意されたい。] 図2 [0041] 本願内のHBV「遺伝子型C」のアミノ酸配列は、例えばGenbank ABV02850.1で示されるHBV遺伝子型Cに対応するか又はこれと同一である、人工の配列を表すが、46位(以下で記載のナンバリングに従う)が、Genbank配列ではGln(Q)である代わりに、本発明の遺伝子型CではLys(K)である。本願のHBV遺伝子型Cの配列は、「HBV遺伝子型C Q46K」と称することもできる。配列番号4、配列番号12、配列番号21〜配列番号27も参照されたい。] [0042] 図2は、HBVpreSコンセンサス配列のアミノ酸残基のナンバリングも示しているが、これは本願を通して以下のものを表している: アミノ酸残基番号1は遺伝子型D(以前は亜型aywと記載される、配列番号5も参照されたい)のメチオニン(Met1)であるが、アミノ酸残基番号(−11)は遺伝子型C(配列番号4)のメチオニン(Met(−11))である。in vivoでMet1又はMet(−11)をそれぞれ、細胞メチオニルアミノペプチダーゼにより切断し、その後N−ミリストイルトランスフェラーゼによりミリストイル残基をそれぞれ、ミリストイル−CoAからアミノ酸残基番号2のグリシン(Gly2)又はアミノ酸残基番号(−10)のグリシン(Gly(−10))に移動させることにより修飾する。遺伝子型DのN末端アミノ酸残基が天然アミノ酸グリシン(Gly2)であり、Lの基となるオープンリーディングフレームのコドンからのそれぞれのナンバリングに従って2の番号が付けられる(又は例えば遺伝子型CではGly(−10))。] 図2 [0043] HBVpreSコンセンサス配列は遺伝子型A、B、C、E、F、G及びHのさらなるN末端アミノ酸も含む(「−」位で指定される)。このため、全体でHBV preSコンセンサス配列は(−11)位〜48位を包含する。] [0044] したがって上記のナンバリングと配列番号1におけるアミノ酸の実際のリストとには違いがある。例えば、 Met(−11)、残基番号(−11)は配列番号1ではアミノ酸残基1として挙げられている。 Gly(−10)、残基番号(−10)は配列番号1ではアミノ酸残基2として挙げられている。 Met1、残基番号1は配列番号1ではアミノ酸残基12として挙げられている。 Gly2、残基番号2は配列番号1ではアミノ酸残基13として挙げられている。 Gly48、残基番号48は配列番号1ではアミノ酸残基58として挙げられている。] [0045] 配列番号1HBVpreSコンセンサス配列((−11)位〜48位) (−11)−M GGWSSTPRKG MGTNLSVPNP LGFFP DHQLD PAFRA NSNNPDWDFN PNKDH WPEAN KVG−48 配列番号2 HBV遺伝子型A (−11)−M GGWSS KPRKG MGTNL SVPNP LGFFP DHQLD PAFGA NSNNP DWDFNPVKDDWPAAN QVG−48 配列番号3 HBV遺伝子型B (−11)−M GGWSS KPRKG MGTNL SVPNP LGFFP DHQLD PAFKA NSENP DWDLN PHKDN WPDAN KVG−48 配列番号4 46位がGln(Q)の代わりにLys(K)であること以外はHBV遺伝子型Cに対応する、人工のアミノ酸配列(Q46K) (−11)−M GGWSS KPRQG MGTNL SVPNP LGFFP DHQLD PAFGA NSNNP DWDFN PNKDH WPEAN KVG−48 配列番号5 HBV遺伝子型D 1−MGQNLSTSNP LGFFP DHQLD PAFRANTANP DWDFN PNKDT WPDAN KVG−48 配列番号6 HBV遺伝子型E (−10)−MGLSW TVPLE WGKNI STTNP LGFFP DHQLD PAFRA NTRNP DWDHN PNKDH WTEAN KVG−48 配列番号7 HBV遺伝子型F (−11)−M GAPLSTTRRG MGQNL SVPNP LGFFP DHQLD PLFRA NSSSP DWDFN TNKDS WPMANKVG−48 配列番号8 HBV遺伝子型G (−10)−MGLSW TVPLE WGKNLSASNP LGFLP DHQLD PAFRA NTNNP DWDFNPKKDPWPEAN KVG−48 配列番号9 HBV遺伝子型H (−11)−M GAPLS TARRG MGQNL SVPNP LGFFP DHQLD PLFRA NSSSP DWDFN TNKDN WPMAN KVG−48 配列番号10 WMHBV 1−MGLNQ STFNP LGFFP SHQLD PLFKA NAGSA DWDKN PNKDP WPQAHDTA−48] [0046] 配列番号2〜配列番号10に関してはGenbankアクセッション番号も参照されたい: HBV遺伝子型A Genbank AAT28684.1 HBV遺伝子型B Genbank AAU01950.1 HBV遺伝子型C Genbank ABV02850.1(46位はGln(Q)(ABV02850.1)ではなくLys(K)(配列番号4等)である) HBV遺伝子型D Genbank AAR19337.1 HBV遺伝子型E Genbank ABS31101.1 HBV遺伝子型F Genbank ABK19774.1 HBV遺伝子型G Genbank AAF34735.1/AF160501_3 HBV遺伝子型H Genbank AAM09052.1 WMHBV Genbank AAC16905.1] [0047] 本発明によるHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは、式: [Hm−P−Rn]AO (式中、 Pが上記preS由来ペプチドであり、 HがPの上記疎水性修飾であり、 RがPのC末端修飾であり、 Aがアンカー基であり、 mが少なくとも1であり、 nが0又は少なくとも1であり、 oが0又は少なくとも1である)を有する。] [0048] 好ましくは、n及びoの両方とも0ではない。] [0049] 本発明によるHBVのpreS由来ペプチドPは、 配列番号1に示されるHBV preSコンセンサス配列のアミノ酸配列、又は その変異体、 を含む。] [0050] 「変異体」は好ましくは、N末端及び/又はC末端で切断された変異体、アミノ酸置換若しくは欠失変異体、又は伸長(prolonged)変異体である。変異体はさらに、修飾アミノ酸、非天然アミノ酸若しくはペプチド模倣体、又はペプチド骨格/構造を模倣し得るさらなる化合物を含むアミノ酸配列を含む。] [0051] 好ましくは、変異体は、配列番号1のN末端及び/又はC末端で切断された変異体;アミノ酸置換又は欠失変異体;修飾アミノ酸、非天然アミノ酸若しくはペプチド模倣体、又はペプチド骨格/構造を模倣し得るさらなる化合物を含む変異体から選択される。] [0052] 本発明によれば、疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの変異体は、少なくとも10個又は20個の配列番号1の連続したアミノ酸を含有し、配列番号1の11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個若しくはそれ以上のアミノ酸、又はその変異体から成り得る。] [0053] N末端及び/又はC末端で切断された変異体は好ましくは、配列番号1の少なくとも14個の連続したアミノ酸(例えば残基5〜18)、より好ましくは少なくとも19個の連続したアミノ酸(例えば残基2〜20)、さらにより好ましくは少なくとも20個の連続したアミノ酸(例えば残基2〜21)を含む。] [0054] 「変異体」という用語は、肝炎ウイルス属、例えばHBV株α1、HBV株LSH(チンパンジー単離株)、ウーリーモンキーHBV(WMHBV)の様々なウイルス種、株若しくは亜型、又はHBV遺伝子型A〜H、及び本明細書中に規定のようなHBV遺伝子型C、Q46K(例えば配列番号4)から成る群から選択される株で見られる相同配列も表す。] [0055] 「変異体」という用語は、配列番号1又は本明細書中で開示の任意の他のアミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらにより好ましくは90%又は95%の配列同一性を示す相同配列も表す。] [0056] したがって、本発明による好ましい疎水性修飾されたpreS由来ペプチドでは、Pは様々なウイルス種、株若しくは亜型、好ましくはHBV若しくはウーリーモンキーHBV(WMHBV)の遺伝子型のアミノ酸配列又はその変異体を有する配列番号1の変異体を含む。] [0057] 好ましくはPは配列番号2〜配列番号10から選択されるアミノ酸配列又はその変異体を含む(図2も参照されたい)。] 図2 [0058] 好ましい実施形態において、本発明による疎水性修飾されたpreS由来ペプチドでは、Pは、配列番号1で示されるHBVpreSコンセンサス配列の アミノ酸残基2〜48[配列番号11] アミノ酸残基2〜20 アミノ酸残基2〜21[配列番号12] アミノ酸残基9〜15[配列番号21] から選択されるアミノ酸配列を有する配列番号1の変異体を含む。] [0059] より好ましくはPは、残基17〜21の欠失等によって配列番号1の残基9〜22にアミノ酸置換及び/又は欠失を含まない。] [0060] より好ましくはPは、配列番号1の残基9〜15にアミノ酸置換及び/又は欠失を含まない。] [0061] より好ましくは、配列モチーフNPLGFFP(配列番号1の残基9〜15に対応する)はD−アミノ酸による残基11〜15の置き換え等によっては遮断又は修飾されない。] [0062] 本発明者らは、以下で記載のように、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの向肝性に重要なこれらのアミノ酸残基を同定している。] [0063] より好ましくは、本発明による疎水性修飾されたpreS由来ペプチドではPは、 コンセンサス配列のアミノ酸残基2〜48[配列番号11]、 コンセンサス配列のアミノ酸残基2〜21[配列番号12]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基2〜48[配列番号13]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基5〜48[配列番号14]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基9〜48[配列番号15]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基2〜21[配列番号16]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基5〜21[配列番号17]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基9〜21[配列番号18]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基2〜15[配列番号19]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基5〜15[配列番号20]、 遺伝子型Cのアミノ酸残基9〜15[配列番号21]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基2〜48[配列番号23]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基5〜48[配列番号24]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基9〜48[配列番号25]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基2〜21[配列番号26]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基5〜21[配列番号27]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基9〜21[配列番号28]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基2〜20[配列番号38]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基2〜15[配列番号29]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基5〜15[配列番号30]、 遺伝子型Dのアミノ酸残基9〜15[配列番号21] から選択されるアミノ酸配列を有する配列番号1の変異体を含む。] [0064] このため好ましくはPは、配列番号11〜配列番号30及び配列番号38から選択されるアミノ酸配列又はその変異体を含む。] [0065] 配列番号1の「変異体」は、その配列が好ましくは、1時間後であっても肝臓組織1g当たりの注入用量の10%を超える向肝性を示していれば、アミノ酸欠失、他のアミノ酸又は同配体(タンパク質アミノ酸との密接した構造的及び空間的な類似性がある修飾アミノ酸)による保存的又は非保存的な置き換えのようなアミノ酸置換、アミノ酸付加又は同配体付加を含む変異体又は「類似体」も含む。] [0066] 保存的なアミノ酸置換は典型的には、同じ群のアミノ酸間での置換に関する。これらの群としては例えば、 非荷電の極性側鎖を有するアミノ酸、例えばアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン及びチロシン、 塩基性側鎖を有するアミノ酸、例えばリシン、アルギニン及びヒスチジン、 酸性側鎖を有するアミノ酸、例えばアスパラギン酸及びグルタミン酸、並びに 非極性側鎖を有するアミノ酸、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン及びシステインが挙げられる。] [0067] 好ましくは、本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを、それらの免疫特性を低減するように修飾する。] [0068] このため、置換及び/又は欠失により修飾されるのに好ましい配列モチーフは、免疫原性に関与する配列、例えばB細胞エピトープ及び/又はT細胞エピトープである。] [0069] HBVのB細胞エピトープは好ましくは、配列番号1のアミノ酸残基20〜23、モチーフDPAF、並びにコンセンサス配列(配列番号1)及び遺伝子型C(配列番号4)のアミノ酸残基26〜32、モチーフNSNNPDW、又は遺伝子型D(配列番号5)のアミノ酸残基26〜32、モチーフNTANPDWである。] [0070] 好ましい実施形態において、配列番号1のアミノ酸残基20〜23を好ましくはアミノ酸置換により修飾する、及び/又はアミノ酸残基26〜32を好ましくはアミノ酸置換により修飾する。] [0071] 好ましくは、配列番号1のアミノ酸残基20〜23(モチーフDPAF)を、アラニンでのアミノ酸置換により、好ましくはモチーフAPAFに修飾する。] [0072] 好ましくは、配列番号1のアミノ酸残基26〜32を、アラニンでのアミノ酸置換により、好ましくはモチーフNANAPDW又はNAAAPDWに修飾する。] [0073] 置換及び/又は欠失により修飾されるのにさらに好ましい配列モチーフは、抗体認識モチーフである配列である。] [0074] 好ましくは、免疫原性に関与する配列、例えばB細胞エピトープを修飾する目的は、本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの免疫原性を低減することである。当業者は、この目的と、その利点及び不利点とを認識している。重要なことに、本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの免疫原性を低減しながら、所望の肝臓標的化/肝向性の特徴についても検討する必要がある。免疫反応を誘起しないシャトルペプチドは、体液性免疫反応から全身的に取り除くことなく繰り返し投与することができる。] [0075] このため好ましい実施形態において、Pは、肝臓標的化/肝向性を維持するために、配列番号1の残基9〜15にはアミノ酸置換及び/又は欠失を含まない。] [0076] 本発明のより好ましい疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは、高い肝臓標的化/肝向性と、低い免疫原性又は非免疫原性とを示す。] [0077] 好ましい実施形態において、Pは、配列番号31〜配列番号37から選択されるアミノ酸配列又はその変異体を含む。] [0078] 表並びにそれぞれの図面及び実施例も参照されたい。] [0079] より好ましい実施形態において、Pは、 配列番号11(コンセンサス配列の残基2〜48)、 配列番号12(コンセンサス配列の残基2〜21)、 配列番号13(遺伝子型Cの残基2〜48)、 配列番号16(遺伝子型Cの残基2〜21)、 配列番号23(遺伝子型Dの残基2〜48)、 配列番号26(遺伝子型Dの残基2〜21)、 配列番号38(遺伝子型Dの残基2〜20)、及び 配列番号31(遺伝子型Cの残基2〜48、並びに21位、23位、29位及び30位でのAla突然変異)、 から選択されるアミノ酸配列を含む。] [0080] 上記のものは、以下の所望の特徴の好ましい組合せを満たす、好ましいアミノ酸配列である:短いアミノ酸配列、低い免疫原性又は非免疫原性、及び効率的な肝臓標的化。] [0081] preS由来ペプチドPの疎水性修飾(H)はPのN末端である。] [0082] 「N末端」は、N末端、すなわちそれぞれの最初のアミノ酸残基(例えばGly2)での疎水性修飾を表すが、N末端の近くでの、例えばそれぞれのアミノ酸残基(−4)、(−3)、(−2)、(−1)、1、2又は3又は4での疎水性修飾も含む。このため、疎水性修飾はさらに、PのN末端に近い部位での疎水性部分の結合により得ることができる。] [0083] 本発明によるHBVの上記preS由来ペプチドの疎水性修飾がペプチドに疎水性部分を付加する。] [0084] さらに、mは少なくとも1、すなわち少なくとも1つの疎水性部分又は疎水性基による修飾である。] [0085] 本発明の好ましい実施形態において、mは、1、2、3、4又はそれ以上である。すなわち、Pは2つ以上(例えば2つ)の疎水性部分又は疎水性基で修飾することができる。疎水性部分又は疎水性基は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。] [0086] 本発明によるHBVの上記preS由来ペプチドの疎水性修飾は、 アシル化、 疎水性部分の付加、 から選択される。] [0087] アシル化は好ましくは、カルボン酸、脂肪酸、脂溶性側鎖を有するアミノ酸によるアシル化から選択される。] [0088] 好ましい脂肪酸は、好ましくは8個〜22個の炭素原子を有する(C8〜C22)飽和又は不飽和脂肪酸、分枝又は非分枝脂肪酸である。] [0089] より好ましくは、アシル化による疎水性修飾は、ミリストイル(C14)、パルミトイル(C16)又はステアロイル(C18)によるアシル化から選択される。] [0090] ミリストイル化による修飾は、より安全性が高い、例えばステアロイル基の有害作用(先天性免疫反応等)を示さないためにin vivo及び医薬用途に好ましい。] [0091] 疎水性部分の付加は、コレステロール、コレステロールの誘導体、リン脂質、糖脂質、グリセロールエステル、ステロイド、セラミド、イソプレン誘導体、アダマンタン、フェルネソール、脂肪族基、多環芳香族化合物の付加から選択されるのが好ましい。] [0092] 疎水性部分の結合は共有結合によるのが好ましく、この結合はカルバメート、アミド、エーテル、ジスルフィド、又は当業者の技術内である任意の他の連結を介して達成することができる。] [0093] このため、本発明の疎水性修飾された、好ましくはアシル化されたpreS由来ペプチドは、N末端に脂溶性又は疎水性の基/部分があるためリポペプチドであるのが好ましい。] [0094] 上記preS由来ペプチドPのC末端修飾(R)は、分解、例えばin vivo分解から保護する部分による修飾であるのが好ましい。] [0095] 「C末端」は、C末端、すなわちそれぞれの最後のアミノ酸残基での修飾を表すが、C末端近く、例えば最後から2番目のアミノ酸残基、最後から3番目のアミノ酸残基、又はそれ以降のアミノ酸残基での修飾(例えばカルボキシペプチダーゼの作用による酵素分解から担体を保護する1つのD−アミノ酸の導入)も含む。] [0096] 当業者は、それぞれの用途に応じてそれぞれの好適な部分(複数可)を選択することができる。] [0097] 分解から保護する好ましい部分は、アミド、D−アミノ酸、修飾アミノ酸、環状アミノ酸、アルブミン、天然及び合成ポリマー、例えばPEG、グリカンから選択される。] [0098] さらに、nは0又は少なくとも1であり、すなわちC末端修飾(R)は任意である。] [0099] 好ましくは、nは1である。] [0100] 本発明のさらなる実施形態において、nは1、2、3、4又はそれ以上である。すなわち、PのC末端又はその近辺を2つ以上(例えば2つ)の部分又は基で修飾することができる。部分又は基は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。] [0101] 本発明の一実施形態において、H及び/又はRはリンカー又はスペーサーを介してPと連結する。] [0102] リンカー又はスペーサー、例えばポリアラニン、ポリグリシン、炭水化物、(CH2)n基は当業者にとって既知である。] [0103] このため当業者は、それぞれの用途に応じてそれぞれの好適なリンカー(複数可)又はスペーサー(複数可)を選択することができる。] [0104] アンカー基(A)は化合物、タグ、ラベルに対する結合点として働く。] [0105] 好ましい実施形態において、アンカー基はPの「C末端」であり、ここで「C末端」はC末端、すなわちそれぞれの最後のアミノ酸残基での修飾を表すが、C末端近く、例えば最後から2番目のアミノ酸残基、最後から3番目のアミノ酸残基、又はそれ以降のアミノ酸残基での修飾も含む。この場合、nは0であってもよく、したがって他のC末端修飾Rは存在しない。] [0106] この実施形態において、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは、以下の一般式を有し得る:] [0107] ] [0108] アンカー基AはpreS由来ペプチドPのアミノ酸側鎖にあり得るか、preS由来ペプチドPのアミノ酸側鎖自体であり得る、すなわちAは側鎖自体又は修飾側鎖であり得る。] [0109] アンカー基は、アンカー基として働く、Pのアミノ酸配列に導入された修飾アミノ酸残基でもあり得る。] [0110] 本発明の他の実施形態において、アンカー基Aは疎水性修飾H及び/又はC末端修飾Rと結合する。] [0111] 好ましくはアンカー基は、エステル、エーテル、ジスルフィド、アミド、チオール、チオエステルから選択される。] [0112] 当業者は、結合する、それぞれの化合物、タグ、ラベル等に応じて、それぞれ好適なアンカー基(複数可)を選択することができる。] [0113] アンカー基はさらに、ビオチン/アビジン、ポリアルギニン/オリゴヌクレオチド(例えばsiRNA)複合体のような複合体形成成分と結合するのに好適であり得る。] [0114] さらに、oは0又は少なくとも1であり、すなわちアンカー基(R)は任意である。] [0115] 好ましくは、oは1である。] [0116] 本発明のさらなる実施形態において、oは1、2、3、4又はそれ以上である。すなわち、2つ以上(例えば2つ)のアンカー基が存在する。アンカー基は互いに同じであっても又は異なっていてもよく、幾つかの化合物、例えば薬剤及びラベル、又は様々な薬剤の結合を可能にする。] [0117] 好ましい疎水性修飾されたpreS由来ペプチドに関しては、表3及び表4も参照されたい。] [0118] 本発明のより好ましい疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは以下の通りである: Pは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号16、配列番号23、配列番号26、配列番号31及び配列番号38から選択されるアミノ酸配列を含み、 Hは、ステアロイル(C18)又はミリストイル(C14)によるアシル化での疎水性修飾である。] [0119] このため、本発明のより好ましい疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは以下の通りである。] [0120] ] [0121] 本発明のペプチドは、当業者が容易に知ることができる種々の手法により、一般的に合成化学的手法及び/又は遺伝子工学的手法により調製することができる。] [0122] より具体的には合成化学的手法としては、固相の逐次及びブロック(block)合成が挙げられる(Erickson and Merrifield, 1976)。固相逐次合成手法を、自動ペプチドシンセサイザーの使用のような確立された自動化法を使用して行うことができる。この手法では、α−アミノ基が保護されたアミノ酸が樹脂支持体に結合する。用いられる樹脂支持体は、(ポリ)ペプチドの固相調製に関する技術分野で従来用いられている任意の好適な樹脂であってもよく、ポリスチレンが好ましくはポリオキシエチレンとコポリマーを形成し、初めに導入されたo−アミノ基が保護されたアミノ酸とエステル形成する部位を与える。本発明者らにより適用されたこの最適な方法を明確に説明している(例えば図12を参照されたい)。アミノ酸を一つずつ(段階的に)導入する。1つのアミノ酸の導入に対応する各合成サイクルには、脱保護工程、連続洗浄工程、アミノ酸の活性化によるカップリング工程、その後の洗浄工程が含まれる。これらの工程のそれぞれの後に濾過が続く。カップリングのための反応試薬(reactive agents)は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアジル−1−イル−オキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、及びジフェニルホスホリルアジド等の(ポリ)ペプチド合成のための従来の反応試薬である。樹脂上でのポリペプチド合成後、アニソール、エタンジチオール又は2−メチルインドールの存在下でのトリフルオロ酢酸等の強酸による処理によって、ポリペプチドを樹脂から分離する。それから化合物を従来の精製技法、特にHPLCによって精製する。] 図12 [0123] 本発明のペプチドを、選択的に保護される(ポリ)ペプチド断片をカップリングすることにより得ることができ、このカップリングは例えば溶液中で行われる。] [0124] ペプチドはさらに、当業者にとって既知の遺伝子工学的技法によって作製することができる。真核生物発現系、例えばバキュロウイルス系が特に適している。この手法に従って、異種タンパク質をコードする核酸配列と、調節核酸配列、例えばプロモータとを含有する組換えバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞においてタンパク質を発現させる。American Type Culture Collection(CRL 1711)から入手可能であるSf−9細胞株等の幾つかの細胞株が組換えバキュロウイルスによる感染に利用可能である。また原核生物発現系、例えば大腸菌における発現が特に適している。] [0125] ペプチドへの疎水性部分の導入を、合成アプローチ及び遺伝子工学的アプローチを含む、当業者が容易に知ることができる種々の手法により達成することができる。] [0126] 代替的に、ペプチド及び/又は融合ペプチド(すなわち疎水性修飾されたペプチド)は、CHO及び当該技術分野で既知であり、ワクチンを生成するのに通常使用される他の細胞株のような安定してトランスフェクトした真核細胞株により作製することができる。N末端の47−preS1アミノ酸がミリストイル化タンパク質/ペプチドの分泌を促進するという固有の特性のために、生物学的に活性がある、疎水性修飾されたペプチドを細胞培養上清から抽出することができる。] [0127] 肝臓標的化のためのベクター及びシャトル 上記で概説されたように、本発明は、肝臓に化合物を特異的に送達するためのビヒクル又はシャトルとしてのHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの使用を提供する。] [0128] 本発明による肝臓に化合物を特異的に送達するための「ビヒクル」又は「シャトル」は、本発明者らにより見出され、本明細書中に記載されるようなHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの向肝性又は向肝性、すなわち肝臓における選択的な集積能、好ましくは肝細胞の細胞膜での選択的な集積能、及び肝細胞への選択的な侵入能を有するものを表す。] [0129] 本発明は、本発明者らによる、特異性が高い肝臓集積の研究結果と、HBVのpreS1配列におけるHBVの向肝性の決定因子の同定とに基づいている。したがって本発明は、特異的な肝臓標的化又は送達それぞれのための普遍的なビヒクル又はシャトルの設計のために、向肝性の決定因子に関する知識を利用している。] [0130] 本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは、肝臓に化合物を特異的に送達させるための汎用ビヒクル又はシャトルである。] [0131] 好ましくは、肝臓への化合物の特異的な送達は肝細胞への化合物の特異的な送達である。] [0132] さらに、化合物をin vitro及びin vivoで肝細胞に特異的に送達することができる。] [0133] 化合物を、動物、好ましくは哺乳類すなわちヒト、又は鳥類の肝臓に特異的に送達するのが好ましい。] [0134] 送達される化合物 本発明に従って肝臓に特異的に送達される「化合物」は任意の種の化合物であり得る。] [0135] 好ましい化合物は薬物及び/又はラベルである。] [0136] 薬物はプロドラッグ又はプレプロドラッグの形態であり得る。] [0137] 化合物はウイルス又はその誘導体、例えばその表面に標的化配列を露出するように化学的又は遺伝子的に修飾されており、それにより肝細胞を感染させることへと方向転換される複製欠損又は複製可能(replication-competent)組換えウイルス(例えばアデノウイルス又はアデノ随伴ウイルス)でもあり得る。これらのウイルスは肝細胞に特異的な遺伝子送達に適用可能であるものとする。] [0138] 本発明の好ましい実施形態において、肝細胞に特異的に送達される化合物は薬物(又はプロドラッグ形態の薬物)であり、以下のものから選択されるのが好ましい。] [0139] ] [0140] 化合物は臨床的に認可された薬物から選択されるのが好ましい。] [0141] 一実施形態において、送達される化合物はIFN−αである。このような実施形態で使用される疎水性修飾されたpreS1由来ペプチドは、HBVpreS/2−20myr(D)、HBV preS/2−48myr(D)、HBV preS/2−20ステアロイル(D)、HBV preS/2−48ステアロイル(D)であり得る(図14も参照されたい)。マウスインターフェロン−αとの融合タンパク質又は構築物を、バキュロウイルス発現系を使用して昆虫細胞における組換え発現によって得た。図14及び図15、並びに実施例も参照されたい。] 図14 図15 [0142] 本発明の好ましい実施形態において、肝細胞に特異的に送達される化合物はラベルであり、蛍光色素、放射性同位体及び造影剤から選択されるのが好ましい。] [0143] 好ましい放射性同位体は131I、125I、99mTc、18F、68Ga、111In、90Y、177Luである。] [0144] 好ましい蛍光色素はAlexa色素、ローダミン及びフルオレセインの誘導体、Cy−色素、FITCである。] [0145] 好ましい造影剤は、ガドリニウム(Gd)錯体、超磁性(supramagnetic)鉄(Fe)錯体及び粒子、原子番号が高い原子を含有する化合物、すなわちコンピューター断層撮影法(CT)用のヨウ素、微小気泡、及びこれらの造影剤を含有するリポソーム等の担体である。] [0146] 本発明のさらに好ましい実施形態において、化合物は同様に標識化される、すなわち本明細書中に規定のようにラベルを保有する。] [0147] 好ましい実施形態において、化合物はデポー剤又は担体の形態であり、この化合物は例えば、薬物、プロドラッグ又はラベルを保有する。このようなデポー剤又は担体、例えばナノ粒子、リポソーム、微小気泡、ガスエマルションは当該技術分野で既知である。] [0148] 本発明の他の実施形態において、肝臓に送達される化合物は免疫原性エピトープから選択される。好ましい免疫原性エピトープは肝臓に送達される場合に、肝臓指向性の免疫反応を活性化するため、肝細胞媒介性の抗原提示に役立つ。] [0149] 好ましい実施形態において、化合物と、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドとが共役体を形成する。] [0150] 好ましくは、化合物と疎水性修飾されたpreS由来ペプチドとの共役体は、共有結合又は複合体形成によって形成される。] [0151] 好ましくは共役体において、化合物は、好ましくは化合物とアンカー基Aとを結合することによって、疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと共有結合する。結合の形態は化合物の種類によって変わる。当業者は好適な共役体を形成するのに適したアンカー基を決定することができる。] [0152] 好ましくは、Aはさらにスペーサー又はリンカーを含む。] [0153] スペーサー又はリンカーは、肝細胞に特異的な活性化に関する認識部位を含むのが好ましく、この認識部位は肝タンパク質によって認識されるのが好ましい。] [0154] 認識部位はタンパク質分解的な切断部位であるのが好ましい。このため、肝タンパク質は好ましくは肝細胞タンパク質、より好ましくは肝細胞タンパク質分解酵素である。このようにして、切断されることなく、共役体を被験体に投与することができ、身体全体に、例えば体液を通して輸送させる。しかしながら、共役体がその標的、肝臓又は肝細胞それぞれに達するとすぐに、肝タンパク質、例えば肝細胞タンパク質分解酵素はタンパク質分解的な切断部位を切断し、そのシャトル、すなわち疎水性修飾されたpreS由来ペプチドから化合物を放出する。] [0155] さらに好ましい肝タンパク質はシトクロム、例えばシトクロムP450である。Adefovir又はPradevofirで使用されるような(Metabasis Technologies, Inc.の)HepDirect(登録商標)技術も本発明に適している。] [0156] 一実施形態において、化合物と疎水性修飾されたpreS由来ペプチドとの共役体が複合体形成によって形成される。本発明に有用な好ましい複合体は、ビオチン/アビジン、ポリアルギニン/オリゴヌクレオチド(例えばsiRNA)である。当業者は、好適な複合体成分を決定すること、並びにしたがって化合物及び疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを設計することができる。] [0157] 疎水性修飾されたpreS由来ペプチド、特に本発明の共役体は、肝臓で化合物を濃縮するのに使用される、すなわち肝臓にシャトルする(shuttled)のが好ましい。] [0158] 好ましくは、化合物を、特に肝臓においてin vivoで肝タンパク質、好ましくは肝細胞タンパク質分解酵素によって、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドとの共役体から切断する。] [0159] 肝疾患の診断、予防及び/又は治療 本発明の好ましい実施形態において、上記の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド、特に化合物とのそれらの共役体は、肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療のために与えられる。] [0160] 診断、予防及び/又は治療される肝疾患又は肝障害に応じて、それぞれの化合物を選択し、肝臓へと選択的、特異的に送達する。] [0161] 本発明による「肝疾患」又は「肝障害」は、肝臓器官、肝臓組織又は肝細胞に影響を与える、又はこれらに関与する任意の疾患又は障害を表す。] [0162] 肝疾患の例は、 肝炎:主に様々なウイルスにより引き起こされるが、或る特定の毒、自己免疫又は遺伝性疾患によっても引き起こされる肝臓の炎症、 肝硬変:死滅肝臓細胞を置き換える、肝臓における線維組織の形成(肝臓細胞の死滅は、例えばウイルス性肝炎、アルコール依存症又は他の肝毒性の化学物質への接触により引き起こされ得る)、 ヘモクロマトーシス:身体において鉄の集積を引き起こし、最終的には肝臓損傷をもたらす遺伝性疾患、 肝臓の癌:通常胃腸管の他の部分に由来する、原発性の肝細胞癌腫(HCC)又は胆管癌腫及び転移性癌、 ウィルソン病:銅が身体に保持される遺伝性疾患、 原発性硬化性胆管炎:事実上自己免疫性である胆汁管の炎症性疾患、 原発性胆汁性肝硬変:細胆汁管の自己免疫疾患、 バッド・キアリ症候群:肝静脈の閉塞、 ジルベール症候群:集団の約5%に見られるビリルビン代謝の遺伝障害、 II型糖原病:全身の進行性の筋力低下(ミオパシー)を引き起こし、特に心臓、骨格筋、肝臓及び神経系で様々な身体組織に影響を与えるグリコーゲンの蓄積、 小児肝疾患、例えば胆道閉鎖症、α−1−抗トリプシン欠乏症、アラジール症候群及び進行性家族性肝内胆汁鬱滞症、 代謝性疾患、 である。] [0163] さらに、動物、例えばペット又は家畜の肝疾患、特にヒトに伝播する可能性がある疾患、例えばトキソプラズマ症も含まれる。] [0164] 診断、予防及び/又は治療される肝疾患又は肝障害は、肝炎、肝硬変、ヘモクロマトーシス、好ましくはA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型及びH型の肝炎ウイルスによって引き起こされる肝炎から選択されるのが好ましい。] [0165] 診断、予防及び/又は治療される肝疾患又は肝障害は、ウイルス、例えばヘルペスウイルス科のウイルス、例えばヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)により引き起こされるが、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、コクサッキーウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルスによっても引き起こされる併合肝炎でもあり得る。] [0166] 診断、予防及び/又は治療される肝疾患又は肝障害は、多くの熱帯病等において肝臓段階(stadium)のウイルス又は非ウイルス病原体を伴う疾患でもあり得る。肝臓段階の幾つかの病原体は初期段階であるので、それぞれの感染をこのような初期段階で選択的、特異的に治療することができる。] [0167] このようなウイルスはA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型及びH型の肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスである。] [0168] このような非ウイルス病原体は細菌、寄生生物及び/又は蠕虫である。] [0169] 寄生生物は例えば、マラリアを引き起こすプラスモジウム(Plasmodium)属の寄生原生動物、例えば熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、及び関連種(例えば卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、二日熱マラリア原虫)である。] [0170] このような蠕虫は例えば、住血吸虫症又はビルハルツ住血吸虫症を引き起こすシストソーマ(Schistosoma)属の扁形動物、例えばマンソン住血吸虫(Schistosomamansoni)、インターカラタム住血吸虫(Schistosoma intercalatum)、ヘマトビウム住血吸虫(Schistosoma haematobium)、日本住血吸虫(Schistosomajaponicum)及びメコン住血吸虫(Schistosoma mekongi)である。] [0171] このような寄生生物は例えば、リーシュマニア症の疾患に関与するサンショウバエ(Phlebotomus)属及びルツォミヤ(Lutzomyia)属のリーシュマニアトリパノソーマ(Leishmania trypanosome)原生生物でもある。] [0172] したがって、マラリア、住血吸虫症(ビルハルツ住血吸虫症)、及び/又はリーシュマニア症を、本発明によって診断、予防及び/又は治療することができる。] [0173] したがって、或る特定の熱帯病を、本発明によって診断、予防及び/又は治療することができる。] [0174] 診断、予防及び/又は治療される肝疾患又は肝障害は肝腫瘍、好ましくは肝細胞癌腫(HCC)であるのが好ましい。] [0175] 診断、予防及び/又は治療される肝疾患又は肝障害は、代謝性疾患、例えば糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム、及び肥満、慢性高血糖、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)でもあり得る((9)も参照されたい)。] [0176] 本発明の好ましい実施形態において、上記の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド、特に化合物とのそれらの共役体は、肝機能の調節のために与えられる。] [0177] 肝細胞媒介性の抗原提示及び肝臓指向性の免疫反応の活性化のためにこれらを使用することが好ましい。この場合、肝臓に送達される化合物は免疫原性エピトープであるのが好ましい。] [0178] 本発明の好ましい実施形態において、上記の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド、特に化合物とのそれらの共役体は、B型肝炎及び/又はD型肝炎の感染予防にも適している。これは、肝臓を標的とする(向肝性)だけでなく、さらにHBV及び/又はHDVのウイルス侵入阻害剤として作用するという上記の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの特性のために可能となる。このことは例えば図9に見ることができる。このため、上記の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドは好適なHBV及び/又はHDVワクチンである(同じ日に出願された、「B型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド、並びにHBV及びHDV侵入阻害剤としてのそれらの使用(Hydrophobic modified preS-derived peptides of hepatitis B virus (HBV) and their use as HBV and HDV entryinhibitors)」という表題の本発明者らの対応するPCT特許出願も参照されたい)。] [0179] したがって、上記のアシル化されたpreS由来ペプチド、特に化合物とのそれらの共役体は、肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療とB型肝炎及び/又はD型肝炎の感染予防との組合せのために提供することができる。] [0180] 本発明の好ましい実施形態において、上記のアシル化されたpreS由来ペプチド、特に化合物とのそれらの共役体は、肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療用の薬剤の製造に使用することができる。] [0181] 医薬組成物 上記で概説されたように、本発明は、本明細書中に規定のようなHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを少なくとも1つと、少なくとも、本明細書中に規定のような肝臓に特異的に送達される化合物と、任意で薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。] [0182] 本発明による医薬組成物は、 本明細書中の上記で規定のようなHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを少なくとも1つ、 少なくとも、本明細書中の上記で規定のような肝臓、好ましくは肝細胞に特異的に送達される化合物、又は 本明細書中に規定のような共役体、並びに 任意で薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤、 を含む。] [0183] 本発明による医薬組成物は本明細書中に記載の全ての使用及び方法に非常に適している。] [0184] 「薬学的に許容可能な担体又は賦形剤」は任意のビヒクルを表し、その中で又はこれを用いて、本発明による医薬組成物又はワクチン組成物が配合され得る。この用語にはリン酸緩衝生理食塩水等の生理食塩溶液が含まれる。一般に、希釈剤又は担体を投与形態及び投与経路、並びに標準的な薬務に基づき選択する。] [0185] 治療法 さらに上記で概説されたように、本発明は、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は本発明の医薬組成物を利用することにより、肝疾患又は肝障害を診断、予防及び/又は治療する方法を提供する。] [0186] 本発明は、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチド及び化合物を含む本明細書中に規定のような共役体又は本明細書中に規定のような医薬組成物を被験体に投与することにより肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療とHBV及び/又はHDVの感染予防とを組み合わせる方法も提供する。] [0187] 本発明による肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療とB型肝炎及び/又はD型肝炎の感染予防とを組み合わせる方法は、治療的に効果的な量で、被験体に (a)本明細書中の上記で規定のような疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと、少なくとも本明細書中の上記で規定のような化合物とを含む共役体(該共役体は本明細書中の上記で規定のようなものである)、又は (b)本明細書中の上記で規定のような医薬組成物、 を投与することを含む。] [0188] 投与経路 好ましくは、特に治療方法における本発明の共役体又は医薬組成物の投与経路を皮下、静脈内、経口、鼻腔、筋肉内、経皮、吸入、坐薬によるものから選択する。] [0189] 鼻腔投与又は鼻腔塗布に関する好ましい実施形態は鼻腔スプレーである。] [0190] 治療的に効果的な量 本発明の共役体又は医薬組成物の「治療的に効果的な量」は、各肝疾患又は肝障害を診断、予防及び/又は治療するのに、及び/又はB型肝炎及び/又はD型肝炎の感染を予防するのに十分な量を表す。] [0191] 好ましい治療的に効果的な量は体重1kg当たり10μg〜1mgの範囲内である。] [0192] ワクチンとしての本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの使用に関して、好ましい治療的に効果的な量は体重1kg当たり10μg〜1mgの範囲内である。使用される疎水性修飾されたpreS由来ペプチドのIC50値が約10nMである場合、好ましい治療的に効果的な量は体重1kg当たり約100μgであるか、又は患者1人当たり1mg〜5mgの範囲内である。] [0193] 好ましい治療的に効果的な量は、送達されるそれぞれの化合物とそのそれぞれの治療的に効果的な量によって変わる。] [0194] 当業者は好適な治療的に効果的な量を決定することができる。] [0195] 遺伝子治療用途 本発明は、遺伝子治療アプローチにおいてpreS由来ペプチド、すなわちpreS由来ペプチドをコードする核酸も提供する。] [0196] 肝疾患又は肝障害の遺伝子治療のために、本明細書中の上記で規定のようなpreS由来ペプチドPをコードする核酸を含むウイルスベクターが提供される。核酸はpreS由来ペプチドPのアミノ酸配列をコードし、この核酸が肝臓標的化を達成するのに必要且つ十分である。] [0197] 好ましくは、ウイルスベクターは複製欠損、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクターである。] [0198] 一実施形態において、ウイルスベクターは肝臓で発現する非相同配列をさらに含む。] [0199] ウイルスベクターは好ましくは、遺伝子治療的に好適なベクターであり、当業者にとって既知である。] [0200] HBV受容体の同定 本発明はさらに、HBVの結合及び/又は浸透に関与する肝細胞受容体をin vitro及び/又はin vivoで同定する、及び/又は上記受容体の発現を定量化する方法であって、上記のような疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを使用することを含む、方法に関する。] [0201] 上記肝細胞受容体を哺乳類又はそれぞれの動物モデル、好ましくはマウス又はヒトで同定することができる。] [0202] 特に上記方法は、 上記ペプチドと肝細胞の表面で発現した受容体との特異的な結合を可能にする条件下で、及び可能にするのに十分な期間、肝生検又は肝細胞を本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドに接触させる工程と、 上記ペプチドと受容体との結合を検出する工程と、 上記受容体を同定する工程と、 を含む。] [0203] HBV受容体を同定する方法は、 (a)本明細書中に規定のような疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと、少なくとも、本明細書中に規定のような化合物とを含む共役体(該共役体は本明細書中に規定のようなものである)、又は (b)本明細書中に規定のような医薬組成物、 の使用を含む。] [0204] これは当業者に既知の従来手法に従って達成することができる。例えば、これは本発明の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの放射性、酵素又は蛍光標識化と、その後の適切な方法による検出とを伴い得る。多くの蛍光材料が既知であり、ラベルとして利用することができる。これらの蛍光材料としては例えば、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッドが挙げられる。酵素ラベルは酵素と対象の分子、例えばポリペプチドとの共役を含み、比色法、分光光度法又は蛍光分光光度法のいずれかにより検出することができる。] [0205] ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)は肝細胞癌腫の最も重要な病因因子である。HBV感染の特質は注目すべきin vivo有効性及び顕著な向肝性である。顕著な向肝性は、循環系における3つのHBV表面タンパク質の内の1つと、肝臓関連受容体又は肝臓標的化因子との特異的な相互作用の結果であると考えられる。] [0206] HBV侵入経路の分子詳細と肝細胞結合及び向肝性に関与するHBV表面タンパク質ドメインの同定とに対する最近の見識に基づき、本発明により、肝疾患、例えばHCCを標的とする、及び任意でHBV及びHDV感染に干渉する、新たな群のペプチド−薬物共役体が開発された。] [0207] 本発明者らは、in vitro及びin vivoでのHBV侵入を効果的に阻止するHBV−preS1表面タンパク質由来リポペプチドを同定した。これらの阻害ペプチドに対する本発明の生体内分布試験により、これらの阻害ペプチドが肝臓(これらの阻害ペプチドが肝細胞と結合し、肝細胞に侵入すると推測される)に選択的に集積されることが明らかになった。この向肝性は、ペプチドのN末端アシル化を必要とし、N末端の47個のpreS1アミノ酸内、すなわちアミノ酸残基2〜21又はアミノ酸残基2〜20(又は好ましくは残基9〜15の最小配列)内の或る特定のHBV preS−配列モチーフによって変わる。このペプチド配列が細胞膜を通るさらに完全な融合タンパク質の輸送を容易にする膜転位シグナルをさらに保有するという本発明者らの観察結果(非公開結果)により、肝細胞の細胞膜に又はさらには選択的にこの細胞に任意の種の薬物が特異的に送達される可能性が開かれる。] [0208] 本発明者らは、HBVpreS1由来リポペプチドが非常に低い用量で、移植されるuPA−RAG−1マウスモデルにおいて完全にHBV感染を防ぐことが可能であることを示している。これらのHBV preS由来の侵入阻害剤に対する薬物動態試験により、極めて高い血清安定性(t1/2 約60時間)及び標的器官での長い半減期(t1/2 約24時間)と合わせて注目すべき向肝性が示された。N末端アシル化とペプチドの或る特定のアミノ酸配列の完全性との両方が必須である(すなわちアミノ酸残基2〜21(又は好ましくは残基9〜15の最小配列)内での)。ペプチドを、肝細胞の感染を抑えるため又は肝細胞癌腫を治療するため、肝臓特異的な薬物標的化のための汎用ベクターとして使用することができる。] [0209] 本発明者らはさらに、WMHBV感染をin vivoでのHBVエンベロープタンパク質由来ペプチドの皮下適用によって効果的に阻止することができるという原理を証明している。このことにより、急性HBV感染の予防と慢性B型肝炎に対する治療オプションとに関する見通しが開かれる。使用されるuPA/RAG−2/PfpマウスはB細胞、T細胞及びNK細胞を欠いているので、感受性(susceptible:感染しやすい)肝細胞に対するペプチドの直接的な阻害効果が推測される。このことは、肝臓におけるアシル化されたpreS由来ペプチドの効果的な集積、その後の胆汁経路を介することもある緩徐な除去によって支持される。両方の特性が、非常に低い用量及び低い頻度での皮下適用を可能にする。5日以内の0.2mg/kgのHBV/preS2−48myrの5回の注射がWMHBV感染確立の予防をもたらした場合、約30倍のより活性の高いペプチドHBV/preS2−48ステアロイルの連続投与は、毎日又は2日ごとに投与すれば、7μg/kg≒13nmol/kg未満の用量であっても効果的であり得る。マウスで得られた体重当たりの有効薬理用量をヒト(8)では約10倍に補正する必要があることを考慮すると、1人当たりの有効用量は100μg/日未満になると予測される。] [0210] 本発明者らは、 本発明のHBVpreS1由来リポペプチドがヒト初代肝細胞(PHH)と結合すること、並びにこの結合がミリストイル依存的及び配列特異的であること(図10も参照されたい)、 本発明のHBV preS1由来リポペプチドの結合がHBV感受性肝細胞に限定されないこと(図11も参照されたい)、 本発明のHBV preS1由来リポペプチドの結合が細胞の分化状態に依存すること、及び本発明のHBV preS1由来リポペプチドは分化した肝細胞とだけ結合すること(図12を参照されたい)、 本発明のHBV preS1由来リポペプチドが他の肝臓癌及び非肝臓癌細胞株とは結合しないこと(Hep G2細胞、Hep G2.215細胞、HuH7細胞およびCHO K1細胞との結合は見られなかった(データ図示せず))、 も示している。] 図10 図11 図12 [0211] したがって、ペプチドによって扱われる(adressed)細胞因子は分化状態に依存する。しかしこれらはウイルスの宿主域の制限には重要ではない。] [0212] ] [0213] ] [0214] 以下の実施例及び図面は本発明を例示するが、これらに限定されない。] [0215] 疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの合成 合成を例えば(10)で記載のように行った。] [0216] 疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの生体内分布 疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの生体内分布を雄のNMRIマウスで研究した。全ての実験をドイツの法律に準拠して行った。C末端にさらなるTyr残基を含有するペプチドをクロラミン−T法により131I(Amersham Biosciences, Freiburg, Germany)を用いて標識化し、HPLCによって精製した。標識化ペプチドを50%DMSOの溶液の注射により皮下投与した。選択された時間でマウスを屠殺し、血液、心臓、肺、脾臓、肝臓、腎臓、筋肉及び脳に含有される放射能をγ−カウンター(Canberra Packard, Ruesselsheim, Germany)で測定し、組織1g当たりの注射用量の百分率(%ID/g)で表した。] [0217] 肝臓から抽出した後の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの安定性評価 肝臓におけるペプチド安定性を求めるために、131I標識化HBVpreS/2−48myr(D)を皮下注射の24時間後に1つの肝葉から抽出した。このために、凍結肝臓組織1g当たり1mlの水を試料に添加した。均質化の後、等量のアセトニトリルを添加し、均質化を繰り返した。遠心分離の後(4000×gで2×10分)、この溶液を逆相HPLCカラム上に分離し、それぞれの画分の放射能をγカウンターで定量化した。] [0218] 細胞株及び初代細胞培養物 HepaRG細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、5μg/mlのインスリン及び5×10−5Mのヒドロコルチゾンヘミスクシネート(10)が添加されたウィリアムE培地中で成長させた。細胞をトリプシン処理によって2週間ごとに5分の1継代させた。感染2〜3週間前に、2%DMSOを維持培地に添加することにより細胞の分化を誘導した。培地を2〜3日ごとに交換した。] [0219] 感染競合アッセイ 供給に制限がなく、品質が一定になるため、感染性接種材料として、HepG2クローン2.2.15(11)細胞の50倍濃度の培養上清を使用した。この上清を、6%ポリエチレングリコール(PEG)8000の存在下でウイルス粒子を沈殿させることにより新たに回収した上清から調製した。この沈殿物を、25%FCSを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で再懸濁した。アリコートを−80℃で保存した。分化HepaRG細胞又はPHHを37℃で20時間、4% PEG8000(Sigma)が添加された培養培地中で10倍希釈した濃縮感染源と共にインキュベートした。インキュベート終了時に、細胞を培養培地で3回洗浄し、2%DMSO及び5×10−5Mのヒドロコルチゾンヘミスクシネートの存在下で維持し、指定時間で採取した。] [0220] 競合実験を12ウェルプレートで行った。初めにおよそ1×106個の細胞を化学的に合成されたHBV由来ペプチドと共に30分間プレインキュベートした後、20時間細胞をペプチド及びウイルスと共に同時インキュベートした。全ての競合シリーズを少なくとも2回行い、1つの代表的な実験結果をそれぞれの場合で示している(図3〜図7を参照されたい)。] 図10 図11 図12 図13-1 図13-2 図14 図15 図3 図4 図5 [0221] HepaRG細胞を、非存在下(0nM)又はそれぞれ1nM、5nM、25nM、100nM及び2000nMの本発明のペプチドの存在下のいずれかで感染させた。感染性接種材料(遺伝子型DのHBV)とペプチドとを一晩インキュベートした。洗浄後、細胞をさらに12日間維持し、ウイルス遺伝子を発現させた。8日目〜12日目の細胞培養上清を回収し、定量的な市販のELISAを使用して分泌HBsAgに関して解析した。それぞれの不完全感染によるHBsAg値を100%とし、感染阻害の程度を不完全感染の%で与える。] [0222] 免疫蛍光実験/顕微鏡検査 カバーガラス上で成長させた初代肝細胞を、血清無含有細胞培養培地中で200nMのそれぞれのペプチドと共にインキュベートした。37℃での1時間のインキュベーション後、細胞を固定し、核をDAPIで染色した。蛍光顕微鏡検査をSpinning Disk Confocal Microscopeにおいて600倍の倍率で行った。] [0223] FACS解析 冷凍保存された初代肝細胞を解凍し、血清無含有培地で洗浄した。それぞれの反応で、4×105細胞/mlを血清無含有細胞培養培地中で200nMの濃度のそれぞれのペプチドと共にインキュベートした。頻繁に混合しながら、染色を室温で30分間行った。続いて、細胞を広範囲にわたって洗浄し、PBS中に再懸濁して、FACS解析を進めた。] [0224] 結果を図面に示す。] [0225] HBVpreS1−ペプチドとマウスインターフェロンαとの融合構築物−製造、精製及び活性試験 HBV preS1−ペプチドとマウスインターフェロンαとの融合タンパク質(図14を参照されたい)を、バキュロウイルス発現系を使用してHi5昆虫細胞で発現させた。細胞上清中で分泌された融合タンパク質を感染の5日後に採取し、preS1−インターフェロンとC末端で融合したHis−タグに関して、アフィニティクロマトグラフィーにより第1の工程で精製した。溶出画分中のpreS1−インターフェロンタンパク質の活性を、それらのニューカッスル疾患のウイルス媒介性の細胞死を阻害する能力により測定した。機能的なpreS1−インターフェロンタンパク質を含有する溶出画分を、1Mの尿素−PBS緩衝液を有するS75−セファロースカラムでのゲル濾過クロマトグラフィーによりさらに精製した(図15を参照されたい)。] 図14 図15 [0226] 上記の記載、添付の特許請求の範囲及び/又は添付の図面で開示された特徴は別々で及びそれらを任意で組み合わせて、多様な形態で本発明を実現する上で重要であり得る。] 実施例 [0227] 参考文献 1. Seeger, C. & Mason, W.S. Hepatitis Bvirus biology. Microbiol Mol Biol Rev 64, 51- 68 (2000). 2. Nassal, M. Hepatitis B virusmorphogenesis. Curr Top Microbiol Immunol 214, 297- 337 (1996). 3. Gripon, P., Le Seyec, J., Rumin, S.& Guguen-Guillouzo, C. Myristylation of the hepatitis B virus large surfaceprotein is essential for viral infectivity. Virology 213, 292- 299 (1995). 4. Le Seyec, J., Chouteau, P., Cannie, I.,Guguen-Guillouzo, C. & Gripon, P. Infection process of the hepatitis Bvirus dependson the presence of a defined sequence in the preS1 domain. JVirol 73, 2052-2057 (1999). 5. Juliano RL (1988) Factors affecting the clearance kineticsand tissue distribution of liposomes, microspheres, and emulsions. Adv DrugDeliv Rev 2: 31 -54. 6. Hashida M and Takakura Y (1994) Pharmacokinetics in design of polymericdrug delivery systems. J Control Release 31: 163-171. 7. Lu, X. M., Fischman, A. J., Jyawook, S.L., Hendricks, K., Tompkins, R.G. and Yarmush, M. L. 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权利要求:
請求項1 式:[Hm−P−Rn]AOのB型肝炎ウイルス(HBV)の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドであって、式中、Pは、配列番号1に示されるHBVpreSコンセンサス配列からなるアミノ酸又はその変異体を含む、前記preS由来ペプチドであり、ここで変異体は好ましくは、配列番号1の少なくとも14個の連続したアミノ酸のN末端及び/又はC末端で切断された変異体;アミノ酸の置換又は欠失変異体;修飾アミノ酸、非天然アミノ酸又はペプチド模倣体を含む変異体から選択され、HはPのN末端にある該preS由来ペプチドPの前記疎水性修飾であり、好ましくはカルボン酸、脂肪酸、C8〜C22の脂肪酸、脂溶性の側鎖を有するアミノ酸によるアシル化と、コレステロール、コレステロールの誘導体、リン脂質、糖脂質、グリセロールエステル、ステロイド、セラミド、イソプレン誘導体、アダマンタン、フェルネソール、脂肪族基、多環芳香族化合物から選択される疎水性部分の付加とから選択され、mは少なくとも1であり、Rは前記preS由来ペプチドPのC末端修飾であり、これは好ましくはアミド、D−アミノ酸、修飾アミノ酸、環状アミノ酸、アルブミン、天然及び合成ポリマー、例えばPEG、グリカンから選択される、分解から保護する部分であり、nは0又は少なくとも1であり、Aは好ましくは、エステル、エーテル、ジスルフィド、アミド、チオール、チオエステルから選択されるアンカー基であり、oは0又は少なくとも1である、疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項2 Hがミリストイル(C14)、パルミトイル(C16)又はステアロイル(C18)によるアシル化から選択されるアシル化による疎水性修飾である、請求項1に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項3 H及び/又はRがリンカー又はスペーサーを介してPと連結する、請求項1又は2に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項4 Pが配列番号1の少なくとも20個の連続したアミノ酸のN末端及び/又はC末端で切断された変異体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項5 Pが配列番号1に示されるHBVpreSコンセンサス配列のアミノ酸残基2〜48、残基2〜21、残基2〜20又は残基9〜15から選択されるアミノ酸からなる配列番号1の変異体を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項6 Pが配列番号1の残基9〜15に、好ましくは配列番号1の残基9〜22にはアミノ酸置換及び/又は欠失を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項7 Pが様々なウイルス種、株若しくは亜型、好ましくはHBV若しくはウーリーモンキーHBV(WMHBV)の遺伝子型のアミノ酸又はその変異体からなる配列番号1の変異体を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項8 Pが配列番号2〜配列番号10から選択されるアミノ酸又はその変異体を含む、請求項7に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項9 Pが配列番号11〜配列番号30及び配列番号38から選択されるアミノ酸又はその変異体を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項10 配列番号1のアミノ酸残基20〜23が好ましくはアミノ酸置換により修飾され、及び/又はアミノ酸残基26〜32が好ましくはアミノ酸置換により修飾される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項11 配列番号1のアミノ酸残基20〜23がアラニンのアミノ酸置換により、好ましくはAPAFモチーフへと修飾される、請求項10に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項12 配列番号1のアミノ酸残基26〜32がアラニンのアミノ酸置換により、好ましくはNANAPDW又はNAAAPDWモチーフへと修飾される、請求項10又は11に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項13 Pが配列番号31〜配列番号37から選択されるアミノ酸又はその変異体を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項14 Pが、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号16、配列番号23、配列番号26、配列番号31及び配列番号38から選択されるアミノ酸を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項15 Hがステアロイル(C18)でのアシル化による疎水性修飾である、請求項14に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項16 Hがミリストイル(C14)でのアシル化による疎水性修飾である、請求項14に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項17 薬物;プロドラッグ;ラベル;組換えウイルス又はその誘導体;薬物、プロドラッグ若しくはラベル用の担体又はデポー剤;免疫原性エピトープから選択される化合物をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項18 該化合物が、薬物、好ましくはインターフェロン、例えばIFNα、ウイルス逆転写酵素阻害剤、ウイルスRNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスコアアセンブリ阻害剤又はウイルスヌクレオカプシド阻害剤、キナーゼ阻害剤、例えばRafキナーゼ阻害剤、ヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、抗体又はその断片、siRNA又はその前駆体、ファルネシル化阻害剤、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)又はその活性剤、コレステロール生合成阻害剤、ウイルス又は非ウイルス病原体の肝臓段階の阻害剤、抗生剤、から選択される、請求項17に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項19 該薬物がプロドラッグ形態である、請求項18に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項20 該化合物が、インターフェロン、例えばIFNαであり、Pが好ましくは、配列番号23又は配列番号38のアミノ酸配列を含む、請求項18又は19に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項21 Hが好ましくはミリストイル(C14)でのアシル化による疎水性修飾である、請求項20に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項22 該化合物が、蛍光色素、放射性同位体及び造影剤から選択されるラベルである、請求項17〜21のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項23 該化合物とHBVの該疎水性修飾されたpreS由来ペプチドとが共役体を形成する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項24 該共役体が共有結合又は複合体形成により形成される、請求項23に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項25 該共役体が化合物とアンカー基Aとを共有結合することにより形成される、請求項24に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項26 該アンカー基Aがスペーサー又はリンカーをさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項27 該スペーサー又はリンカーが認識部位を含み、該認識部位は肝タンパク質、好ましくは肝細胞タンパク質、より好ましくは肝細胞タンパク質分解酵素又はシトクロムにより認識される、請求項26に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項28 医薬組成物であって、請求項1〜16、26及び27のいずれか一項に記載のHBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドを少なくとも1つ、少なくとも、好ましくは請求項17〜22のいずれか一項に規定されるような、肝臓、好ましくは肝細胞に特異的に送達される化合物、又は請求項23〜25のいずれか一項に規定されるような共役体、並びに任意で薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤、を含む、医薬組成物。 請求項29 肝臓に化合物を特異的に送達するためのビヒクルとしての、請求項1〜27のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドの使用。 請求項30 該化合物が、請求項17〜21のいずれか一項に規定されるようなものである、請求項29に記載の使用。 請求項31 肝臓への化合物の特異的な送達が肝細胞への該化合物の特異的な送達である、請求項29又は30に記載の使用。 請求項32 該化合物を動物、好ましくは哺乳類すなわちヒト、又は鳥類の肝臓に特異的に送達する、請求項29〜31のいずれか一項に記載の使用。 請求項33 該化合物が肝臓で濃縮される、請求項29〜32のいずれか一項に記載の使用。 請求項34 該化合物を、肝タンパク質、好ましくは肝細胞タンパク質、より好ましくは肝細胞タンパク質分解酵素又はシトクロムによって、HBVの疎水性修飾されたpreS由来ペプチドとの共有共役体から切断する、請求項29〜33のいずれか一項に記載の使用。 請求項35 肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療のための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は請求項28に記載の医薬組成物。 請求項36 該肝疾患又は肝障害が、肝炎、肝硬変、ヘモクロマトーシス、好ましくはA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型及びH型の肝炎ウイルスによって引き起こされる肝炎又はウイルスによって引き起こされる併合肝炎から選択される、請求項35に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項37 該肝疾患又は肝障害が、肝臓段階のウイルス又は非ウイルス病原体を伴う疾患である、請求項35又は36に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項38 該肝疾患又は肝障害が熱帯病、マラリア、住血吸虫症、リーシュマニア症である、請求項37に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項39 該肝疾患又は肝障害が肝腫瘍、好ましくは肝細胞癌腫(HCC)である、請求項35に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項40 該肝疾患又は肝障害が代謝性疾患、好ましくは肥満、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項35に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド。 請求項41 肝機能の調節のための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は請求項28に記載の医薬組成物。 請求項42 肝細胞媒介性の抗原提示及び肝臓指向性の免疫反応の活性化のための、請求項1〜27及び41のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド疎水性修飾又は請求項28に記載の医薬組成物。 請求項43 B型肝炎及び/又はD型肝炎の感染予防のための、好ましくはワクチンとしての請求項1〜27及び35〜42のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は請求項28に記載の医薬組成物。 請求項44 肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療とB型肝炎及び/又はD型肝炎の感染予防との組合せのための、請求項1〜25及び29〜43のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は請求項28に記載の医薬組成物。 請求項45 肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療用の薬剤の製造のための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチド又は請求項28に記載の医薬組成物の使用。 請求項46 肝疾患又は肝障害の診断、予防及び/又は治療とB型肝炎及び/又はD型肝炎の感染予防とを組み合わせる方法であって、治療的に効果的な量で、被験体に(a)請求項1〜16、26及び27のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと、少なくとも、請求項17〜22のいずれか一項に規定されるような化合物とを含む共役体(該共役体は請求項23〜25のいずれか一項に規定されるようなものである)、又は(b)請求項28に記載の医薬組成物、を投与することを含む、方法。 請求項47 投与経路が、皮下、静脈内、経口、鼻腔、筋肉内、経皮、吸入、坐薬によるものから選択される、請求項46に記載の方法。 請求項48 該治療的に効果的な量が体重1kg当たり10μg〜1mgの範囲内である、請求項46又は47に記載の方法。 請求項49 肝疾患又は肝障害の遺伝子治療のための、請求項1〜15のいずれか一項に規定されるようなpreS由来ペプチドPをコードする核酸を含むウイルスベクター。 請求項50 該ウイルスベクターが複製欠損、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項49に記載のウイルスベクター。 請求項51 該ウイルスベクターが肝臓で発現する非相同配列をさらに含む、請求項49又は50に記載のウイルスベクター。 請求項52 HBV受容体を同定する方法であって、(a)請求項1〜16、26及び27のいずれか一項に記載の疎水性修飾されたpreS由来ペプチドと、少なくとも、請求項17〜22のいずれか一項に規定されるような化合物とを含む共役体(該共役体は請求項23〜25のいずれか一項に規定されるようなものである)、又は(b)請求項28に記載の医薬組成物、の使用を含む、方法。
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公开号 | 公开日 | 专利标题 Schieck et al.2013|Hepatitis B virus hepatotropism is mediated by specific receptor recognition in the liver and not restricted to susceptible hosts CN102918055B|2017-03-29|新的胰高血糖素类似物 Marty et al.2004|Enhanced heparan sulfate proteoglycan-mediated uptake of cell-penetrating peptide-modified liposomes Persing et al.1987|The preS1 protein of hepatitis B virus is acylated at its amino terminus with myristic acid. Sawant et al.2010|Intracellular transduction using cell-penetrating peptides US7306783B2|2007-12-11|Membrane-permeant peptide complexes for medical imaging, diagnostics, and pharmaceutical therapy JP2015178527A|2015-10-08|ニューロテンシンまたはニューロテンシンアナログおよびその使用 ES2334864T5|2013-04-08|Glucagon-like peptide-2 and its therapeutic use AU722700B2|2000-08-10|Lipophilic peptides for macromolecule delivery JP4949838B2|2012-06-13|新規glp−1誘導体 JP6174489B2|2017-08-02|Highly soluble leptin JP3581366B2|2004-10-27|免疫原のリソソーム標的 US8575110B2|2013-11-05|Peptidic nanoparticles as drug delivery and antigen display systems JP5175108B2|2013-04-03|血液脳関門を介して化合物を輸送するためのアプロチニンポリペプチド TWI461209B|2014-11-21|包含抗原tau肽之免疫原及其組合物 JP3586278B2|2004-11-10|Hla−制限型b型肝炎ウィルスのctlエピトープ US5346696A|1994-09-13|Asialoglycoprotein - conjugated medicinal agent JP5906184B2|2016-04-20|C末端エレメントを有するペプチドおよびタンパク質を使用する方法および組成物 JP5078212B2|2012-11-21|内皮細胞を標的とするための化合物、それを含む組成物およびその使用方法 CN105535960B|2019-06-04|用于治疗hbv感染的组合物 KR100650975B1|2006-11-29|비정상 지혈증 장애 치료용 아포리포단백질 a-i 유사펩티드를 공급하는 유전자 치료법 US7501394B2|2009-03-10|Compounds for targeting hepatocytes JP6634402B2|2020-01-22|Compositions, uses and methods for the treatment of metabolic disorders and diseases US8877716B2|2014-11-04|Peptide derivatives, preparation and uses thereof CN102037008B|2016-08-31|蛋白酶稳定化的、酰化胰岛素类似物
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